頸部の腫れ・しこり
頸部の腫れ・しこり
「首が腫れた」や「首にしこりがある」といった症状であり、痛みを伴う場合と伴わない場合があります。
腫れやしこりがある部位を触診で調べるとともに、必要であれば当院では超音波検査を行います。
頸部の腫れ・しこりの原因として下記のものがあげられます。
リンパ節は全身のリンパ管をつなぐ小さな器官であり、頸部では数十個存在します。このリンパ節が病的に腫れる場合があります。
その原因としてのどの炎症などに反応して腫れることが最も多いですが(反応性リンパ節腫大)、結核やEBウイルス感染などの全身の感染症が原因である場合もあります。
また咽頭がんや甲状腺がんなどのがんの転移や悪性リンパ腫によりリンパ節が腫れることもあります。
超音波検査を行い、リンパ節の大きさ・形を確認するとともに、リンパ節の正常構造が保たれているかを調べます。
この超音波検査の結果次第では、リンパ節から細胞を採取しその細胞を観察する検査(穿刺吸引細胞診)を行う場合もあります。
甲状腺は“喉ぼとけ”の下方に存在し、甲状腺ホルモンを作っています。この甲状腺内にしこり(腫瘤)ができることがあります。
多くは良性のものですが、悪性の場合もあり、検査が必要です。
甲状腺腫瘤の観察には超音波検査が適しており、またホルモン異常をきたすことがあるため血液検査も行います。
超音波検査にて悪性の可能性も考えられる場合には腫瘤から細胞を採取する検査(穿刺吸引細胞診)を行います。また橋本病やバセドウ病などで甲状腺全体が腫れる(腫大する)ことがあり、血液検査にて診断します。
詳しくは甲状腺の病気についてのページをご覧ください。
唾液腺とは唾(つば)をつくる組織であり、大きなものとしては耳の前および下にある耳下腺、下あごの骨の下にある顎下腺、舌の下方にある舌下腺があります。
これら以外にも口の粘膜の下にも小さな唾液腺は多く存在します。
この耳下腺や顎下腺、舌下腺が炎症で腫れたり、これらに腫瘍ができたりすることがあります。
炎症で腫れる際には痛みを伴うことが多いのに対して、腫瘍の場合は痛みがないことも多いです。
超音波検査などで腫瘍が疑われる場合には腫瘍から細胞を採取する検査(穿刺吸引細胞診)を行います。
嚢胞(のうほう)とは袋状の構造物で、多くは内部に液体成分を含んでいます。首には正中頸嚢胞や側頸嚢胞、リンパ管腫などさまざまな嚢胞が発生します。
サイズが小さいため外観上問題なく、また炎症を起こすことがなければ特に治療は必要ありませんが、サイズが大きく目立ったり、定期的に炎症を引き起こす場合には治療を行います。
治療としては手術切除が多く選択されます。この病変が上記の嚢胞であれば大きな問題はありませんが、稀に悪性であったり転移したリンパ節が変性したものである場合があるため、穿刺吸引細胞診(嚢胞から細胞を採取し細胞を観察する検査)や定期的な超音波検査を行い、慎重に観察する必要があります。