中耳炎・外耳炎
中耳炎・外耳炎
中耳炎は、鼓膜やその奥の鼓室など(中耳)に細菌やウイルスなどの病原体が感染して炎症が生じる疾患です。
中耳は鼓膜により外耳道と隔てられているため、鼓膜が正常の場合(穴が開いていない場合)には外耳道側から細菌などが入ることはありません。
一方で、鼻の奥と中耳は耳管という管で通じています。
風邪などにより鼻やのどで細菌やウイルスが増殖した場合に、この増殖した病原体が耳管を通じて中耳内へと侵入し、そこで感染を起こし中耳炎が生します。
また鼓膜に穴が開いている場合には外耳道から細菌が入り生じることがあります。
炎症を引き起こす病原体としては細菌が多く、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、モラキセラ・カタラーリスなどがあげられます。ウイルスや真菌(カビ)が原因となることもあります。
耳の痛みや聞こえにくさ、耳がつまった感じが生じます。また炎症が強く鼓室内に膿が多く貯留した場合、鼓膜が破け耳だれ(耳漏)が生じます。
小さなお子さんでは症状の訴えが少ないため、頻繁に耳に手を当てる仕草があるときなどは中耳炎を疑う必要があります。
鼓膜を確認し、鼓膜の色や鼓室内の膿の有無、鼓膜穿孔の有無などを観察します。
また炎症を引き起こしている菌を調べ、有効な抗生剤(抗菌薬)の選択を行うために細菌培養検査も行います。
中耳炎の原因となる菌は耳管を通して鼻から中耳に行くため、鼻から細菌培養検査を行う場合もあります。
原因となっている病原体に応じて行います。
細菌が原因の場合には内服や点耳にて抗生剤を投与します。また真菌(カビ)の場合には真菌に対する外用剤を使用します。
耳だれ(耳漏)が多い場合には耳洗浄などを行う場合もあります。
また鼓室内に膿が多くたまり、耳の痛みなどの症状が強く、抗生剤の効果が乏しい場合には鼓膜を切開することがあります。
鼓膜を切開し、膿を除去することで中耳内の病原体の量を減少させることができます。切開した鼓膜は、中耳炎が改善すると多くの場合数日で閉鎖します。
外耳炎とは 鼓膜の外側に位置する外耳に炎症が生じている状態です。
多くは耳かきによる傷や引っかき傷などがきっかけとなります。
外耳炎の最も多い原因です。
耳掃除(耳かき)で外耳道の皮膚が炎症を起こす場合と、外耳道に傷がつくことがきっかけで皮膚の下に細菌が侵入し炎症を起こす場合とがあります。
長時間のイヤホン使用により、外耳道の皮膚が刺激され、外耳炎を発症することがあります。
イヤホンによる外耳炎を繰り返す場合には耳の中に入れるタイプのイヤホンの使用を避け、ヘッドホンの使用をお勧めします。
外耳の皮膚にアレルギー反応である湿疹が生じることがあります。
この湿疹が強くなると皮膚の表面から細菌が侵入し、外耳炎を引き起こします。
真菌(カビ)が外耳炎を引き起こすことがあります。
真菌による外耳炎は細菌による外耳炎よりも症状が強く、軽快するまで期間が長くかかることが多いです。
耳のかゆみや耳の痛み、耳だれ(耳漏)が生じます。
炎症が強い場合には耳介や頬の皮膚にも痛みが広がる場合があります。
また外耳道の腫れが強い場合や鼓膜にも炎症が広がる場合には聞こえにくさや耳のつまった感じも生じます。
外耳道を観察し、外耳道の腫れや耳だれの有無などを確認します。
真菌(カビ)が原因の場合には乳白色や黒色の耳漏がでたり、菌糸を確認できるのが特徴です。
点耳薬や抗生剤入りのステロイド軟膏を使用し、特に炎症・痛みが強い場合には抗生剤の内服を行います。
真菌(カビ)が原因の場合には真菌に対する外用剤を使用しますが、治療期間が長くなることが多いです。
原因として、頻回の耳掃除の習慣や湿疹などがある場合には外耳炎を繰り返す可能性が高いため、再発予防のため習慣の是正や湿疹に対する治療が必要です。